プリンセスプリキュアの構図的なーー強く優しく美しくーー

人間の人生は既に神話や小説などの様々な表象で既に物語られている
人生は物語を越えられない
これは文学の一つのテーマであるが
プリンセスプリキュアはこのテーマに対して一つの解を提示している
「夢は、可能性は、物語を越えた新しい物語を作る」

プリンセスプリキュアのヒロインはるかは劇中絵本「花のプリンセス」をきっかけにしてプリンセスになる夢を抱く
この絵本の作者ゆめは読者の夢の可能性を閉ざさぬよう敢えて結末を描かなかった
はるかのプリンセスとしての歩みは絵本で既に物語られている(絵本のタイトルは"花のプリンセス"であり、はるかは咲き誇る"花のプリンセス"キュアフローラだ、また、紫の鳥*1に導かれる点なども挙げられよう)けれども結びははるか次第である
先に述べたようにはるかの可能性は絵本つまり物語によって閉ざされてはいない
ここではるかは元の物語を越えて
"はるかの物語"を本編の最終回付近で完成させるだろうし
友人の絵本作家志望のゆいは将来はるかの物語を絵本にするだろう(本編の後半で実際にゆいはプリンセスプリキュアの強く、優しく、美しい姿を絵画に描いていた
((その回においてゆいは第1話でキュアフローラに救われたお花畑と舞台を同じくし
直前にゆめのアドバイスを受け絵本作家への夢を固めた強靭な意志によって絶望の檻を自力でほぼこじ開けるまでになり
ゆいの成長を見せたばかりでなく
絶望の檻を開く力はプリンセスプリキュアのみしかない
にもかかわらずなこの状況はつまり
ゆいも実質はプリキュアであることを暗示させる
それもそのはずで
ゆいもはるかと同じく「花のプリンセス」に感銘を受けた1人の女の子であったからで
はるかはゆいのあり得た可能性の一つなのだ
このような作中人物の役割や人柄が主人公のあり得た未来や過去などのパラレルな要素を付与されている作品はどれも面白いという見方がある)))
そしてその物語も越える未来のプリンセスがその絵本を手にとるはずだ

プリンセスプリキュアの「物語を受け継ぎ乗り越え託す」という構図は現代の"王室"の連綿と受け継がれてきた伝統の様相とニアリーイコールな印象を受ける
テーマをプリンセスとすえたこの作品の一貫性は驚嘆せざるを得ない
「花のプリンセス」の作者ゆめはお嬢様≒プリンセス輩出を目的としたお嬢様学校ノーブル学園の理事長でありはるかやゆいはそこの学生である(ここでも教えを"受け継ぐ"構図が見える)

内容もさることながら上記のような一貫性を保った美しい構成力はどのアニメーションと比較しても充分に傑作たり得よう
幼少期にこのような作品と巡り会えた小さなお友達は幸せ者である
子供にもこの"美しい"構図を理解できるような"優しく"分かりやすい作りが心がけられているからだ
そんな「GO! プリンセスプリキュア」が我々の胸をうつ感動の"強さ"ったらもう!
最終回!見逃せませんね!

*1:勿論アロマのこと